古市歯科医院ブログ


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院長ブログ:2007年05月

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2007年05月24日

歯科医療における問題点

国民医療費(歯科:約2兆5千億円)に対する歯科医師数の過剰供給で、不均衡が生じている。

一人当たり歯科医師の売上は約2,700万円、一般経費率70%を考慮すると、税引前利益810万円。
今後、12万人にまで増えた場合で予算(歯科医療費)が増えない場合は600万円を下回ることが予測されます。
 → 事業主として、600万円を下回る所得では、良い人材が業界に参入してくることは難しく、国の歯科医療の未来に危機感を感じます。
 このまま歯科医療費抑制下で出来高払制を維持し続ければ、収入を確保するために、過剰で必要のない医療が行われ、一層、国民の健康が害されることになります。来院患者さんの約80%が診査、診断の結果、結局再治療が主訴で、質を問わない医療給付を続ける限り、2重、3重、4重に無駄な医療費が国から支出されています。
 本来、虫歯や歯周病は、適切な予防対策が行われていれば稀な症例であり、スウェーデンやフィンランドなどの予防の先進国では疾病抑制にすでに成功しているのです。

今後の公的皆保険のあり方について(歯科)

医科と歯科では疾病予防のあり方が異なり、同じ医療保険制度(疾病に対する給付)での運用は計り知れない弊害があります。
 歯科においての疾病予防は、医科ほどの複雑さはなく明確で実証(エビデンス)があり、特定の重大疾病(ガンなど)・唇顎口蓋裂などを除き、治療に関し公的保険の適用を段階をおって外す方向性が望ましいと考えます。
 「歯科医療における問題点」にも記したように、必要のない治療や不正請求により、国民の健康は害され、国費も無駄に使われている現状は早急に対応が必要と考えます。
要するに、歯科においての公的給付は下記などを除き予防医療の範囲に止める必要があります。

公的保険で対応すべき歯科領域

  • 0歳~20歳までのカリエスフリーを管理する。予防医療(智歯の抜歯、小児矯正も含む)
  • 65歳以上老人医療(歯科全般)
  • 20~65歳までの予防管理費用(智歯の抜歯含む)
  • 低所得、障害者の医療

予防のメインテナンスに関しては、一か月に一回、口腔内の衛生管理の専門家(歯科衛生士)からクリーニングをうける権利を国民に提供し、行使するかどうかは、国民各々の自己責任とすることが望ましいと考えます。
 日本国内においては人口減少に進んでおり、予防管理に基づく医療給付に転換することにより、結果的に過剰で不必要な治療行為の減少につながり、医療費の抑制を実現し、国民の口腔内の健康増進につながると考えます。

医療費の内外価値差と日本国内でも起きている業種間の格差について

郵政の民営化により、一層、日本の預貯金が海外に流出する事態が予測されます。多くの外資系金融、証券会社の突出した給与が新聞で話題になっていますが、そうした市場原理で動いている業界との収入格差が拡大すると、今後より良い人材が医療業界には参入しなくなる事態が懸念されます。
 一概には言えませんが、医療行為の単価をアメリカと比較すると、アメリカを100とした場合、日本の医科30、歯科5~7というコストで提供されています。
 日本に来たアメリカ人などは、あまりに窓口の支払いが安すぎるので逆に適切な医療行為(特に消毒・減菌など)が行われているのか疑いを持たれる方もおられます。
 アメリカのインフェクションコントロールと日本のその基準では、やはりかなりの差があることは事実であります。
 医科ですらそうなのですから、歯科の現状給付ではその水準は極めて低いと言はざるを得ません。
 戦後、1990年頃のバブル崩壊までは、インフレ経済に支えられ国民皆保険制度は、富の再分配、互助の精神などから維持されてきましたが、世界経済、特に金融の世界のボーダレス化に伴い、物・金の価値を日本固有の価格として維持することは難しくなっていると考えます。

歯科技工士の劣悪な職場環境

 保険診療報酬が10年以上ほぼ横ばいのなか1つの詰め物を1000円~2500円で製作することを余儀なくされるため、収入25万/月を得るための労働時間が月300時間にも及び、すでにワーキングプア化し、離職率も増加の一途をたどっています。(アメリカドイツなどのほぼ1/10の価格でおこなっている)

歯科衛生士の3年制移行における具体的政策意図

 歯科衛生士の法的業務範囲規定は極めて抽象的かつ限定的であります。その業務範囲の拡大が行われないまま、2年制から3年制に移行しても専門学校での養成にかかわる費用に見合うだけの職業的魅力と人的投資価値を市場が受け止めるとは考えにくいと推察します。歯科医療先進国における歯科衛生士の業務範囲に準ずる資格にすべきと考えます。

  • 口腔内に限定した局所麻酔注射の施術
  • 口腔内に限定したレントゲン撮影
  • 中程度の歯周病治療       など

 戦後、日本の経済復興の過程で国民すべての健康を維持するために発足した皆保険制度ですが発足当時とは明らかに疾病状況が変化しています。高齢化とともに、慢性疾患にかかる医療費が増大するのは必至であり、自己責任の範囲で予防可能な疾患や年齢階級別に受益者負担率を変化させ、一律の割合負担を是正するのも一案ではないでしょうか。(例:米国の民間保険)

上記の政策が実現された場合

 今後出生してくる子供(少子化傾向)が20歳をむかえるまでのカリエスコントロールを徹底し、学校保健で処置歯をスェーデン並みの1.0~2.0に抑制できればその後、定期的メインテナンスを受けることを仮定すると飛躍的に医療費の抑制につながる。

2007年05月23日

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